アメシスト
産地の特色
水晶は石英が結晶化したもので、世界中いたる所に存在します。
このうちの紫色のものがアメシストです。
現在の主要な産地はザンビア、ブラジル、ウルグアイで、各産地ごとに品質の特徴があります。
ザンビア産

1980年初頭から産出が本格化しました。色が濃く、魅力ある色をした原石です。
しかし、一方では、内包物や色溜まりが多いため、研磨を工夫して、可能な限りクリーンな宝石の仕上げます。
ブラジル産

多くのアメシスト鉱山があります。
大きいけれども色の淡いものや、黒みを帯びてしまい鮮やかさの欠けたものも多く存在します。
シトリン(黄水晶)は自然界にも存在しますが、ほとんどアメシストを加熱したもので、この加工にはブラジル産のアメシストが多く使われます。
ウルグアイ産

紫色が均等ではなく、色が一部に集中しているものが多いのが特徴です。
これをカラーバンド、もしくは色溜まりといいます。正面からみて美しければ、他の角度から見て無色の部分が見えても高く評価されます。
どんな時代にも魅了し続けてきたジュエリー
皇妃ジョセフィーヌ贈賜のデミ・パリュール

フランス1803年(新古典主義)ダイヤモンド、エナメル、パール、ゴールドネックレス:長さ78㍉イヤリング:長さ60㍉幅26㍉
水を飲む鳩の絵柄は、当時最も知られた古代ローマのモザイク(下図)を引用しています。祖母ユージェニー•ド•セラスに贈られたとの銘刻があります。
デミ•パリュール
18世紀頃からパリュール(セット物)が着用されだしましたが、この頃ジュエリーを身につけられたのは、ごく限られた人達でした。
王侯貴族、宗教関連の高位の人々などで、権威や財力の象徴として、だんだんボリューミーになっていったのですが、1世紀以上たって女性を飾るようになってからは、より美しくより華やかに魅せられるように、高い完成度を求めてパリュールとしてセットされるようになりました。
伝ソソス原画「身づくろいする鳩」

イタリア 100年頃(ヘレニズム) モザイク
前2世紀のペルガモン(現トルコ)の伝統的なモザイクの巨匠ソソスの原画によるモザイクです。
ローマ皇帝ハドリアヌスの別荘で、帝国様式の威容を伝えることで知られるヴィラ•アドリアーナの遺跡から出土しています。
ヘレニズム美術を代表するモザイク作品であることから皇妃ジョゼフィーヌのジュエリーに引用されることになりました。
皇妃ジョゼフィーヌの肖像

フランス 1808年油彩(新古典主義)
載冠式に用いられた宝冠を傍らに当日の衣装を身に着けた皇后ジョゼフィールの肖像です。
前世期ロココ時代のドレスがウエストを細く絞っていたのに対してナポレオン時代のドレスの特徴は、胸の下で絞るハイウエストの古代ローマ風のゆったりとしたシルエットにあります。